例えば補習があったりして放課後残らされた日に終わった後教室の窓から外を見ていたら山本が部活をやっていたりして。
その山本を見て、ふと、思ったりするのだ。
俺がもし、山本みたいだったとしたらどうだろう、と。
俺がもし。
友達がいないようなダメツナじゃなくて、
人気者の、山本みたいだったら。
京子ちゃんが始めてしゃべった女の子、のダメツナじゃなくて
女の子に囲まれたりすることのある山本みたいだったら。
逆上がりも出来ないダメツナじゃなくて
野球部レギュラーの山本みたいだったら。
どんな人生だったのだろう、と。
俺は山本が羨ましいのだろう。
言い訳も出来ないほどに
羨望して、いるの、だろう。
だけれど、
そんなことを考えた最後には
いっこくらい
ダメツナでも良いことがあるんじゃないかと思えるんだから
結局、ダメツナのままで良いのかもしれない。
そう、
ダメツナにだって
いっこくらいは
良いところがあるのだから。
そうやって俺は
存在理由を見出している。