死ネタです。
突然だった。それは。突然に起きた。
ねえ、しんで?
そんなことを君が言ったのは。突然のことだった。
その前の日、僕と君は仕事終わりに誘い合わせてディナーを取った。ここのドリアは美味しいと君は言った。僕はそうですねと返した。君は本当にそう思ってるのと怒ったように言った。僕は困ったように笑いながら思ってますよと言った。
その後、アジトに戻って僕の部屋で一緒に寝た。その時にも彼の様子におかしな所はなかった。いつも通りに僕を布団に放り込んでから僕の腕の中にすっぽりと収まって眠りについていた。
その翌朝。起きたらいきなり。いきなりだ。君は僕に馬乗りになっていて、僕の三叉槍を僕の胸、左胸に刺さんとしていた。
ねえ、しんで?
ど、どうしたんです、雲雀さん?
しんで。
分かりましたからまず三叉槍を返してください、危ないですから。
ねえ、しんでよ。
だから分かりましたからそれ、返してください、ね?
そこまで言った時だった。
僕の胸に三叉槍が刺さった。なぜか。開いていた窓から鳥が歌いながら入ってきて君の肩に止まったからだ。君はびくり、と身体を震わせて、そして体勢を崩してしまって。それで、刺さってしまったのだ。
それはぐさり、と、あっけないほど軽く刺さった。本当に。あっけなかった。
意識が薄れていく。君が泣いているのが見えた。
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夢を見た。
君が死ぬ夢、だった。
その前の日、君と僕は仕事終わりに誘い合わせて夕食を取った。ここのドリアは美味しいと僕は言った。君はそうですねと返した。僕は本当にそう思ってるのと怒ったように言った。君は困ったように笑いながら思ってますよと言った。
その後、アジトに戻って君の部屋で一緒に寝た。
夢を見た。
クローム髑髏が泣いていた。
どうしたの、クローム髑髏。
骸様が・・・!
骸がどうかしたの?
クローム髑髏は路地の奥の方を指差して、そのまま泣き続けた。
嫌な予感がした。
君はそこで事切れていた。君かどうかも分からないような肉と血の塊の姿だった。思わず気持ちが悪くなって口元を覆い、路地を出てクローム髑髏に尋ねる。
あれは本当に骸なの?
分かるの。私たちは1つだから。あれは間違いなく骸様なの。
君が死んだなんて。君が。しかもあんな惨い殺され方で。
どこかで何かが壊れた気がした。
目が覚める。君が隣で寝ていた。ほっとしたが瞬間後不安になった。
君はいつかあんな殺され方をしてしまうのでは?不安になった。どこの誰かも分からないやつに散々甚振られて命を落としてしまうのでは?不安になった!不安だ。不安だ!
誰とも分からない奴に殺されてしまうくらいなら僕が。あんな惨い殺され方ではなくもっと綺麗な、せめて君と分かる姿で。
ベッドサイドに置いてあった君の武器、三叉槍を手に取る。君に馬乗りになって胸にあてがったところで君が目を覚ました。
ねえ、しんで?
ど、どうしたんです、雲雀さん?
しんで。
分かりましたからまず三叉槍を返してください、危ないですから。
ねえ、しんでよ。
だから分かりましたからそれ、返してください、ね?
そこまで言った時だった。
窓から入ってきた僕の鳥が僕の肩に止まった。びっくりして振り返ると、君の肩に乗せていた左手が滑り落ちた。体勢が崩れる。
君の胸に三叉槍が刺さった。
それはぐさり、と、あっけないほど軽く刺さった。本当に。あっけなかった。
ああ、君は死んでしまうのだ。僕の手によって。
嬉しいことだ。なのに涙が流れた。
お題はワンフレさんよりお借りしました。