西暦2008年、9月18日、応接室にいつものように六道が飛び込んできた。


 「雲雀さん、今日が何の日か知ってますかっ!?」


 知らない。そう言ってやったら六道はわかりやすく嘆きの態勢に入った。正直うざったいので、六道の言う、「酷いです雲雀さん!」だとか、「まあ薄々分かってはいましたけどっ!」だとかは全て華麗にシカトし、机の上の書類に目を落とした。


 「ちょっ、聞いてください雲雀さん」


 それも無視したら「ちょっとひーばーりーさーん!」なんて叫びだしてそれもまたうざったいので、何、そう聞き返してやると彼は、人差し指を僕に向かってびしっと突き出し言った。


 「今日はっ、僕たちが付き合い始めてちょうど1年の記念の日なんです!」


 なるほど、言われてみればそれくらい経っているかもしれない。早いものだ。ついこの間付き合い始めたばかりのような気がするのだけれど。六道は、突きつけているその人差し指をぴっこぴっこと振りながら楽しそうに言った。


 「何してお祝いしましょうかね!?世間的には1、ほのぼの。2、甘。3、バイオレンス。4、裏ルート、なんかが多いみたいですけど」


 何の統計だ。


 「どれがいいですか?僕としてはそうですね・・・全部やりたいのですが何なら全部にトライしてみませんか?」


 嫌に決まってる。咬み殺すよと言ってやれば冗談ですよと笑顔で言われた。何番が良いですか何て1番に決まってるだろそんなの。2?なんかくすぐったくなるから嫌。3と4は論外に決まってるだろ。


 「一番無難なところにきましたね。まあいいですよ」


 そう言ってソファの僕の隣に何の許可もなく座って身体をくっつけてきた。序に腰に手まで回されている。はぁ。

 まあ、今日くらいはいいか。

 そう思って僕は隣の六道に身体を寄せてやった。