世界との不和を感じる。
いつからでしょう。
きっと、もう思い出せないほどに遠い昔から。
ひょっとしたら僕ではなくて前世生きた何かがそう感じたのが初めかも知れません。
とにかく自分と世界の間に大きな隔たりが感じられるのです。
自分が世界に不適合だなんて思いたくない。
そうだ。世界が僕に不適合なのです。
いっそ狂えてしまえばよかった。
ああ、でも不幸なことに僕は発狂するほどに柔ではなく生まれてきてしまった。
発狂できたのならきっとこの目が埋め込まれたときにしていただろうに。
いや、あの時僕はある種狂ったのかもしれない。
理性をはっきりと残したままに、
何かが捻じ曲がってしまったのかも、しれない。
その時からかもしれない。
僕と世界の間に隔たりができたのは。
もしかしたらその前から僕は世界から弾き出されていたのかもしれないけれど。
ああ本当に、
どうしてまだ僕は狂うこともなく生きているのでしょう。
幻覚、はどうして僕自身には作用してくれないのでしょう。
そう、思うのですけれど、自分で作った悪夢など、作られた悪夢など、
子どもの頃の苦しみに比べたら大したことはない。子ども騙しだ。
どうしたって、自分が狂うことが出来ないのだとしたら。
ならばこの世界全部狂ってしまえば良い。
世界の全てが狂って、そして僕の方へと、墜ちてくれば、良い、んだ。
(ねえ、そう思いませんか、世界よ!)