かえしてください。かえして、かえしてよ!

 ねえ、
 僕の右目。
 あれをかえして。
 あの蒼が好きだったんです。
 こんな目も、
 こんな力も、
 いらないんです。
 かえしてください。

 ねえ。
 どうして僕の右目をもっていったの。
 どうして僕にこんな忌まわしい紅の目をうめこんだの。
 いやだ。
 いらないんだ。
 いらないんです、こんな紅。
 いらない、いらないっ!
 かえして。
 あれは僕の大切なものなんだから。
 かえしてください。
 かえして。
 おねがいです。

 ねえ、
 ねえ、なんで僕らにこんなことをするの。
 っああ。う、ああ。
 きもち、わるい。
 こんな瞳。
 忌まわしい力を持った、紅い瞳。
 きもちわるい。
 僕の眼窩に今も収まっているかと思うと吐き気がするんです。
 抉り出したくて堪らない。
 だけれど。
 指を突き入れたってこの目は、
 どうしてだかここに収まったままで。
 出て行ってはくれないのです。

 ああ。
 ね、え。僕の蒼い右目をどうしたんですか?
 こんな紅い目いらないから。
 僕のあの蒼い目をかえしてよ!
 おねがい。
 おねがいだから。
 かえして。
 他の全てを奪ったっていいから、
 あれを、あの蒼い色を持った右目を、かえしてください。