そこは晴れていた
鮮やかな蒼
吸い込まれそうに果てしない
ほわり、浮かぶ雲
何処までも旅を続ける、白
そのコントラストは心ごと囚われるよう

そこは荒野だった
何もない、ただ広がっているだけの場所
真っ直ぐに延びる線路
廃線になって随分経つのだろう
ぼろぼろのそれはしかし
真っ直ぐに何処までも続いていた



そこに彼はいた



場にそぐわない、割りにきっちりとした格好をした彼は
頼りなさそうな細身の体に反して
くっ、と力強く立っていた

真っ直ぐに前を見据えて微動だにしない彼の黒い瞳もやはり
揺らがない、強い光をもっていた



彼はただそこに佇んでいた



それはまるで時が止まっているかのようで
僕は、夢かと思うようなその光景に囚われたまま
どうしたって抜け出すことが出来ないのだ