注意!雲雀がなんかこう・・・まあ、病んでます。
がつ、ごきり、ばきん、
陶器の中で薬を砕く。
あちこちの薬屋で一瓶ずつ買った、たくさんの薬。
それを少しずつ陶器に入れて細かく砕いていく。
砕けたものを瓶に戻し、また新しいものを陶器に入れる。
ざり、べきり、
砕き続ける。
幾日かかけて、砕き続けて。
これが、最後の一瓶。
がり、ごき、ざらり。
・・・終わった。
砕いたものを別の容器にひとつに集める。
さて、今回はどうしようか。
前の時はヨーグルトに混ぜて食べたから、今回はアルコールと一緒に摂取しようか。
アルコール飲料を探す。焼酎を発見。
適当にその辺りにあったグラスに注いで、砕いた薬と共に寝室へ運ぶ。
布団に座り、さら、と口に砕いた薬を少し含み、焼酎で飲み下す。
たくさんの薬をそうやって全て飲んで、とどめにアルコールを更に摂取。
薬を入れていた容器とグラスを重ねて、枕元に置き、眠る体勢になる。
布団にくるまって、やがてやってくるだろう苦しみを覚悟する。
ふわりと眠気が襲い、誘われるままに、眠りにつく。
出来れば目の覚めることのないように、祈りながら。
灼熱感を感じて、急激に意識が覚醒する。
痛い。喉が、胃が、焼けそう。
いや、本当に焼けてるのかもしれない。
だって、それくらい痛いもの。
早く気を失いたい。そうすれば、その間に死ねるはずだから。
早く、早く。
痛みに強くできている自分の身体がうっとおしい。
もっと脆弱にできていれば、早く死ねていたはずなのに。
ああ、痛い。痛い、痛い。
携帯は折って壊した。
だからもう連絡は取れない。
助けは求められない。当たり前だ、死にたいのに助けを求める奴がどこにいる?
痛みに集中して、なるたけ痛みを感じるようにする。
ゆっくりと意識が薄らいでいく。
逆らうことなく、落ちていく。
意識がぶつりと途切れた。
もう一度だけ、覚醒した。
相変わらず痛くて、吐き気がして、苦しかった。
すぐにまた、意識を失った。
目が覚めた。
さっきのような急激な覚醒ではなくて、緩やかな、普通の目覚め。
気持ち悪くない。
痛みも無い。
暖かくて柔らかい、布団の感触。
目を開ける。
「あっ、雲雀氏」
横から、聞き慣れた同僚(不本意だけど、)の声がした。
ゆったりと、そちらに顔を向ける。
「目が覚めたんですね。痛いところとか、気持ち悪いとかないですか?」
「ここ、病院かい?」
同僚、ランボの問い掛けを無視、一方的に聞く。
「あ、はい。そうです、俺は一応護衛に」
「君に守られる程落ちぶれてない、」
「う、まあそうですけど。でも雲雀氏、自分がどんな状態だったか、分かってますか!?」
言い聞かせるように言ってくる。うざったい。
「知らない、どうでも良いよ、帰る」
布団を跳ね除けて、ベッドから降り、ようとしたら、ランボに抱きつかれて止められる。
ああ、本当にうざったい。
「駄目です、駄目ですよ、雲雀氏ーッ!」
「何が駄目なの、いつ帰ったって、別にいいじゃない」
「良くないです、俺がボンゴレに頼まれてるんですから!リボーンに殺される!」
「、赤ん坊?」
動きを止めると、ランボも力を抜いて、(抱きつかれたままではあるけれど)
「そうですっ、ちゃんと雲雀氏を見張ってろって言われたんですから、」
「ふうん」
赤ん坊が言ったのなら仕方ない。
いや、実際僕がここに居させるようにと最初に言ったのはおそらく沢田綱吉だろうけど。
どうせ、彼に逆らおうとしたところで周りに止められて終わりだ。
そのまま、後ろへ、布団の上へ、倒れこむ。
「う、わっ!」
僕に抱きついた体勢のままだったランボも引きずられて、僕の上に倒れこんでくる。
だけど、それを払いのける気力なんか残されてない。
目を瞑ると、僕が寝ると思ったのか、ランボが離れた。
もう、もう全て、どうでも良い。
どうだって良い。もう、何もかも、全部面倒だ。
自殺企図も、もう、疲れた。
どうせ、いつもいつも、生き返らせられるんだから。
もう、勝手にすれば良い。
僕が雲だなんて。自由だなんて、誰が言ったの?
僕が自由だなんて。誰が。言った、の。
(ああ、僕は自由だと、思っていた頃の僕は本当、に、)
自由、なんて、そんなもの、どこにもないんだと気づいてしまった。
(あの頃の僕は本当に幸せだったのに、)
僕は生に囚われて。
蔦に絡みとられたかのような僕は。
ずぶずぶと、暗い水の底へと落ちてゆく。
[E;endless (終わりの無い)]エンドレスは天国か地獄か
――そんなの、決まって、るでしょう。
お題は群青三メートル手前さんよりお借りしました。