目が覚めると、僕は、真っ白な空間にいた。
 どこまでも、真っ白い光に包まれていて、果てが見えない。
 
 (ここは、どこ?)

 何も存在しない空間。
 自分のみが存在する、空間。

 (どうして僕はここにいるんだ?)

 分からない。
 僕は、学校にいたはずだ。
 学校の、応接室の、ソファの上。
 そこで、眠っていたはずだ。
 その、はずだ。
 ちゃんと覚えている。
 ソファに横になったのを。
 そして眠りについたことも。

 (どうしようか、)

 何故自分がこんなところにいるのかはいまだ不明だが、座り込んでいてもしょうがない。
 適当に、一直線に歩いてみることにする。

 (本当、どこなの、ここ)

 歩いて、歩いて。
 疲れて、立ち止まる。

 (どこまで続いてるっていうの)

 何もない。本当に、どれだけ歩いても変わらない、景色。
 真っ白。眩しいほどだ。

 (疲れた、な)

 座り込む。床が冷たいかと思ったけれど、そんなこともなく。
 不思議と居心地がいい。

 (不思議だ・・・)

 夢、なのだろうか。
 僕は、あまり普段夢を見ないから、良く分からないけれど。
 でも、夢っぽい、気がする。
 だって。
 ずいぶんたくさん歩いたのに、足が痛いだとか、そんなこともなくて。(疲れた気はするけど)
 時間も結構経ったはずなのに、お腹が空くとか、そんなこともない。

 (不思議・・・・・・)

 ああでも。
 夢だとするならば、覚めたくない。

 ここは、居心地が良い。
 とっても。とっても心地良い、空間だ。

 ずるり、と地面に呼び寄せられたかのように、身体を地に横たえる。

 (毛布が、あると、いいのに)

 思うと、よく見たら、手に持っていた。

 (あれ・・・持っていたっけ、)

 ああ、もう、どうだっていいか、そんなことは。
 眠い。眠たくて、眠たくて、目が開けていられない。

 いつの間にか持っていたその毛布に身を包んで。

 (お休み、なさい)



 此の心地良さを手放すなど、もう、
 ・・・出来そうに、無い。


お題は群青三メートル手前さんよりお借りしました。