その日、僕はディーノと共に朝食をとっていた。
 僕は、朝食だけは和食じゃないと嫌だと主張し、結果、僕の前には、一応見てくれだけは和食に見えないこともない・・・かな、くらいの食事が用意された。
 トーストに異常なほどにハチミツをかけているディーノを見たあと、軽くため息を付いて僕の前の食材を見やった。
 まず、白米。これはまだ良い。完全にお粥になってしまっているが、まだ良しとしよう。
 味噌汁。確かに一見味噌汁のように見えるが、中にはポテトとベーコン、おまけにタマゴでとじてある。味噌汁を、スープだと勘違いしている。
 焼き魚は生焼けだし、おまけにオリーブオイルで焼いてある。
 小鉢の中身に至ってはおこうこではなくピクルスが入っている。
 もはや何が何だか。頭を抱えて天を仰ぎたい気分だ。
 気分、ではなく実際に軽く頭に手を当てた。そうしたらディーノがどうした、なんて声を掛けてきた。
 そのディーノが、トーストからぽたぽたとハチミツをたらして、口の周りにもべったりと付けて、食べているのを見て、何となくイラっときて。
 ディーノの口の周りをなめてやった。「甘い、」
 ディーノが慌てふためいてトーストを膝に落として、ズボンを汚して、あ、と叫んでいるのを見て、してやったりと思うってこんな感じかなと思っていた。



 ハニートーストを前に、僕はそんなことを思い出していた。